The komori note小森ノート

TOP50最終戦

タイトルの奪回、それを目標にしてきたこの一年、4戦までに少しポイントが離れてしまったが、その可能性を信じた最終戦までに道のり。プラクティスは存分にできた。試合に集中もできた。しかし結果は一歩及ばず・・・。最終戦は10位、総合ランキングは2位で今年のTOP50シリーズは終了した。まず初めに応援を下さった、たくさんの皆様へお礼を申し上げます。本当にありがとうございました。
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シリーズタイトル。この大きさはここで言うまでもないが、今年もこれを目指して戦ってきた。年間5戦×3日間、毎戦変わる湖、それを配慮したポイント制、運の要素が大きい釣りという競技で、運の要素を限りなく排除したこのフォーマットは本当にその一年、強い選手が一人しか獲ることができない。興味のないふりをする選手はいても、これを手にしたくない選手などいないだろう。負けず嫌いのトーナメンター達にとって、強さの証明そのものなのだから。そして、その可能性の残された最終戦は、もちろん悔いなく戦えるように可能な限りプラクティスに出船した。このシリーズは一戦ごとに割り当てられる60ポイント×5の300P満点で総合成績が決まる。最終戦前の私の順位は3位。トップとは31P差。トップの五十嵐選手が予選を通過してしまえば終了なのだが、ここまで4試合での点数が227P。これは少し高すぎる。ここ近年は高得点化しているが、タイトルに必要なシリーズポイントは5戦で250点前後と考えていい。自分が196Pだったので表彰台に絡めば届かなくはない。そう信じた。

空いている日程全て、キャンセルできるスケジュール全てを無理やりプラクティスに当てたため、そのために周囲の方々には多大な迷惑を掛けた。それを許して支えてくれた友人や周りの方々、ガイドのゲストさん、スポンサーメーカーのありがたさをこの最終戦で痛感した。自分の持っている環境のありがたさ、大切さを今改めて誇りに思う。私のみならず、特殊な環境の選手を除いてはトーナメントを戦い続けるには時間、もしくは資金という問題がいつも直面する。それが作れず夢をあきらめる選手も大勢いる。毎戦勝てる保証などないトーナメントにそれらを全面投資したのでは、もちろん無理は生じるので折り合いはつける必要がある。しかし下位になればなるほど、投資もしにくくなり、試合のための練習が減るという悪循環を起こすし、上位になったからといってそれらが振って沸いてくることも、一時的にはあっても継続してはない。戦う環境を作っていくこと。つまり戦いはそこから始まっているのだ。だが、環境が整えば当然、そこに関わってる方々の期待も大きくなるし、自分に対するプレッシャーも大きくなる。それに答えるにはやはり結果しかない。

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プラクティスのタックル。可能性のあることはとことん試すのでロッドが多い。

話を最終戦に戻す。この試合、無理を言ってプラクティス三昧にした以上は下手はできない。そう思って取り組んだプラクティスでは面白いようにバスが釣れた。
2週間前までのプリプラクティス時は少し減水気味の霞ヶ浦水系。夏の要素から秋に移行しつつある季節の過渡期で、バスはフォールよりもスローな横の動きに反応がよかった。狙ったのは魚探にワカサギが多く映る水深2~3m前後の杭やオダなどの高さのあるストラクチャー。ルアーはようやくプロトがあがってきたレッグワーム2.9のダウンショット3.5g。リーダーは20cmくらい。このワームの特性や使い分けはまた後日に詳しく紹介したいが、とにかく良く釣れた。1500gクラスが毎日二桁近く釣れる、ここはどこの湖か錯覚をおこすような釣果だった。キーパーもDeepX100でチョコレート護岸を引いていれば400~600gがイージーに獲れ、これらを試合で使いやすいようにプランニングしていく作業を行った。多少水が増えても、荒れても、冷え込んでも釣れていたので大増水さえなければいける、と思っていた。
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プラクティスではこのサイズが何本も釣れた。

そして2週間後の試合を待ったのだが、そのオフリミット中、茨城県や宮城県に大きな被害をもたらした未曾有の大雨が降った。一時は1m近く水位が上昇し、直前の公式プラクティス開始時も通常時より50~60cm高い水位であった。
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大雨翌々日の利根川の佐原付近。

増水だけは避けたかった。これは本音だ。2010年のBasserオールスター、そして2013のTOP50北浦戦。かつてプラクティスでいい思いをしたあとの増水は散々たる結果に終わっている。同じ轍は踏むまいと、ここはシンプルに対応することだけを考えた。直前プラクティス初日からプランは普段打てないようなアシのシャロー一本に絞り、直前の雨と天気予報で試合中も水位が上下していくことが予想されたので、その様子を見ながらプランを流動させていくという考え方にした。アシを打っていれば数は釣れる。DeepX100のパターンも生きている。DeepX100のためにスタンダードモデルのFC-64 MG-FM MGSというグラスロッドも投入した。リールもZPIに突貫でチューンを頼んだLT6を準備。しかしこれらの釣り方ではサイズが600gどまり。少し知っている一級スポットを撃てば700gまでは混ざるのだが、このままでは上位にはいけない。そしてプラクティス2日目にハードボトムが絡んだリーズでようやく1200gというクオリティーのあるバスを手にすることができた。ルアーはモコリークロー4gテキサスリグ。その一匹がこの試合の全ての始まりだった。
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直前プラでは荒れていてコンソールが中破した。体のダメージもでかい・・・

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DeepX100はこの水系はほんと良く釣れる。カラーはライジングワカサギ。

初日、朝一の外浪逆浦のポイントこそ不発だったが、外浪逆浦から霞ヶ浦本湖にかけてのシャローを流し続け、キーパーは難なくそろった。しかしサイズが思うより小さく、5本で2800g前後であった。当然多くの選手が増水=シャローの方程式をよみ、エリアのバッティングも多く、この時点でこの先は苦戦すると覚悟した。
水位が上がりだす正午ごろ、プラクティスで1200gをキャッチしたリーズに入る。リーズ前に垂れ下がった枯れた草に絡めて軽くスイミングさせると800gが水面近くで反転して食ってきた。そこから水面で泳がせることを意識してルアーを2.7gのパワーホグ3インチテキサスリグにチェンジ。続けて1000g。そこから同じような条件のエリアで1350g。それから700g。全て水面。食うところはばっちり見えた。サイズアップに苦しむ展開だろうと思っていたので、後のポイントは手をつけず、水面を意識したPOPーXなどで新たな可能性を模索しながら初日を終える。初日のウエイトは4350g。順位は5位。悪くない。

二日目もモコリークローとパワーホグのテキサスリグでキーパーを獲っていき、5本で2800gまではすぐにいった。流れが止まっていたので水位の上昇を待って昨日のリーズに入る。一回目は釣れなかったが、確信があったので何度も入り直した。4回目くらいだろうか。昨日より水位が高かったこともあり奥へ入れたとたん重みが伝わってきた。フッキングからやり取り。自分では無駄はなかったと思う。ロッドがたたない。昨日の1350gは優に超えた魚体が一瞬見える。このサイズはこの近距離戦でやり取りは危険だ。ロッドティップ近くまでロッドを突っ込んだ状態で巻き取り、ネットを水中に突っ込む。今までこのランディングではミスをしたことがない。だがこのキッカーフィッシュは無常にもフックアウトしてしまった。フックが曲がってい・・・。今年一年を象徴したようなシーンだった。ついてない。ライブウェルには400g台が2本残っていた。仮に昨日と同じ1350gだったとしても・・・。だが立ち止まってる暇はない。気分をとりなおしてレッグワーム2.9のDSで入れ替えを釣るが大してウエイトを伸ばせず失速してしまった。

最終日は曲げられたフックのサイズをかえた。アクションやフォールスピードが変わることも水槽でチェックし、イメージはできた。とにかくメインの魚でそろえればチャンスはまだあるのだ。しかしメインエリアにウエイクボート6台、先行のバスボートが5台。連休なので仕方がない。朝一から精神力が試された。それでも何とか900gを1本キャッチ。その後は引き波やカットインの連発で釣りにならなくなり、勝負をかけた。攻めなければ終わってしまう。チャンスは絶対にある。初日に使った霞ヶ浦のスポットへ走ったが、そこも他の選手とバッティング。でも諦めない。さらに新境地を求めて霞ヶ浦を走る回る。行ったことのないところも普段釣れないところも、今の水位と風向きで可能性を感じたところをチェックしていく。しかし手ごたえなく、無情にも時間だけが過ぎていった。11:00、帰路に着きながらポイントを回ることにした。メインエリアの近くの冠水植物前で再びそこそこの重みの伝わるいいバイトがあったが、これは一瞬ですっぽ抜け。フックオンもしていなかったのでは仕方ない。気を取り直し、北浦に帰り帰着15分前に750gを追加。その後、600gクラスをカバーから抜いた瞬間にフックアウト。そこでタイムアップとなった。練習や準備に悔いはない。そして立てた作戦も。ミス?なのかアンラッキーなのか、そういうものなのかわからないが、確実に優勝ウエイトをフッキングさせていただけに結果には悔いしか残らない。しかしこれもトーナメントなのだ。

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メインのルアー。上からレッグワーム2.9DS、DeepX100、モコリークロー、パワーホグ3のテキサスリグ。

V4は逃した。応援してくれた方々には本当に申し訳ない気持ちでいっぱいだ。 しかし最終戦まで煮え切らないシーズンだったが、そのことが私をまた成長させてくれたと信じている。まだポストシーズンにELITE5もBasserオールスタークラッシックもJBスーパーバスクラッシックも残っている。来年もある。必ずやこの借りは返したいと思っている。今年はシリーズを通して全戦にカメラが同船。DVDとして発売予定だ。4度目のタイトル奪回こそは逃したが、その戦いぶりを近いうちにご覧いただけると思う。安定感といわれる私だが、常に紙一重の展開で戦っている。その緊張感と、トーナメントにかけた情熱をぜひお楽しみ!!

タックルデータ
モコリークローテキサスリグ
ロッド:FSNC-67MH MGS FRONTIER
リール:RevoLTX ZPI BFC930PRO
ライン:G7プロトライン12LB
ウエイト:スゴイシンカー4g

パワーホグ3テキサスリグ
ロッド:FSNC-67MH MGS FRONTIER
リール:RevoLTX ZPI BFC930PRO
ライン:G7プロトライン12LB
ウエイト:2.7g

レッグワーム2.9ダウンショット
ロッド:FSNC-67MH MGS FRONTIER
リール:RevoLTX ZPI BFC930PRO
ライン:G7プロトライン8LB
ウエイト:3.5g

Deep-X100
ロッド:FC-64 MG-FM MGS
リール:RevoLT6 ZPI NRC933PRO
ライン:G7プロトライン10LB
カラー:ライジングワカサギ

2015/9/25